49:風の色

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「・・・その果物が、これ、という訳だ。」 話し終えたエルガが、再びティファの前の皿に盛られた果物に視線を落とし、その中から一切れを摘んで口へと運ぶ。 とても新鮮で糖度も申し分ない。 「最初は店で出すか、私達だけで頂こうか迷っていたんだが、やはり二人に食べてもらおうと思ってね。」 ティファとアルバートを見て、優しく微笑む。 エルガの話を聞き終えた二人はどこか驚いたような表情を浮かべるが、それも一瞬のことで、たちまちにとても嬉しそうな表情になった。 「間違いないよ!ラファエルとセロだ!」 興奮気味のティファが思わず声を上げる。 その感情はアルバートも同じなのだが、ティファはそれよりも一際嬉しそうな、まるで少女のような表情を浮かべている。 「あれあれあれ~?ティファったら、顔赤いよ?ラファエルって人が来たことがそんなに嬉しいのかな~?」 そこへ、ティファの隣にいたリオーネがくすくすと笑いながら顔を覗き込む。 「えぇっ!??そ、そんなことないよ!」 更に真っ赤になって否定するが、そんな反応がリオーネは楽しくて仕方がない。 「だってほら、新しい仲間ができたんだよ?その仲間が来てくれたんだよ!?嬉しくもなるでしょ?ね!」 あたふたとしながら必死に赤面の言い訳をするティファ。 「もーティファったらかわいい!!」 その様子を見ていたリオーネは突然ティファに抱きついて頬擦りをしながら頭をぐりぐりと撫でる。 リオーネの胸に顔をうずめたティファはもごもごともがきながら頬を膨らませている。 仲の良い二人はまるで姉妹のようにじゃれあっていて、それを他の仲間達は微笑ましく見守っていた。
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