50:虹色の風

3/5
前へ
/281ページ
次へ
ティファはその言葉に赤面し、やや俯いてどこか嬉しそうにもじもじと照れている。 その隣に立つアルバートも、柔らかい微笑みを戦友に返す。 そしてアルバートは、相変わらずもじもじとしながら何かを迷うようなティファに一度視線を落とし、苦笑混じりの小さなため息を漏らす。 「なぁ、ラファエル。あんたこの後、どうするつもりなんだ?」 ティファが正に尋ねたかった内容を、見かねたアルバートが代弁する。 「そう、それ!何か、予定とか目的とか・・・。」 ティファが勢いよく顔を上げ、アルバートに続く。 「・・・まずは、一度故郷へ戻ろうと思う。借りている武器を返さねばならない。その後は・・・」 ラファエルはそこで一度言葉を句切る。 そして懐から布に包まれた物を大事そうに取り出す。 「フェリジアも、故郷に帰してやりたいんだ。エルフの森に入ることが許されるかどうかわからないが・・・。」 ラファエルが取り出したそれは、フェリジアの、一房の黄金の髪が包まれている。 手の中にあるフェリジアの髪に視線を落とすラファエル。 ティファの見た彼の表情は、どこか儚げに見えた。 まるで消えてしまいそうなほどに。 現実味を帯びない、幻のような印象を与えるラファエルの姿に、どこか不安な気持ちを抱いてしまう。
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

104人が本棚に入れています
本棚に追加