カラフルΒΟХ

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「ねぇ次これやろ~」 夏休みの日曜日。俺たちは大学近くの遊園地に来ていた。 戸狩(トガリ)が出し続ける難題な課題を、とうとうゼミのメンバー全員が投げ出した。 8月の夏合宿の前にみんなで遊びに行こうと計画していたが、大幅な前倒しだ。 香緒(カオ)が一人ではしゃぎながら何やら大きな建物に向かっていく。 「なんだろうこれ~」 ずんずん進んでいく香緒の後を5人がついていく。 「カラフルΒΟХ?」 その名の看板だけで、長方形で外壁が真っ黒な変わった建物。 お化け屋敷とは違った不気味さ。 興味をそそる見た目だった。 「入んの?」 慎二が訊く。 「うん!入ろ!」 香緒がツンツンと建物を指してにかにか笑う。 ぐるぐる回る、なかなか怖い乗り物、 お決まりのジェットコースター、 お化け屋敷ときて、俺たちは何のためらいもなく、 『カラフル』の意味が理解できない真っ黒な建物に入って行った。
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