本編

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君は体をつつかれ、意識を取り戻した。 ゆっくり目を開けると、あぐらをかいた君の右太ももをカラスがしきりにつついている。 君が着ているのは腰に巻いた布だけで、背中で組まれた両手首には手枷をはめられ、そこから鎖によって大木につながれていた。 下手に動くと、手枷で両手首を痛めるだろう。 君は少し空腹を覚えて、カラスに噛みつこうとした。 だが、カラスはすぐに飛び立ち、視界から消えた。 足が痺れてきた君は、両足を前に投げ出す。 ここにつながれている訳は知っていた。 窃盗だ。 盗んだ品々を自宅で吟味していた最中、突然やってきた謎の男たちに取り押さえられた。 牢獄に放り込まれ、ろくに食事も与えてもらえなかった君は、作業中にトイレに行くと見せかけて脱獄した。 だが、あまりに空腹だったため、途中で力尽きて倒れた。 謎の男たちはすぐに倒れていた君を見つけると、連れ帰って温かいスープを出してくれたのだが、飲み干した後の記憶がない。 きっとスープに入っていた薬で眠らされ、見せしめにここにつないで放置したのだろう。 なんとかしてここから逃げ出そう。 奴らが戻ってくる前に。 君が鎖でつながれている大木はちょうど三叉路の交わる辺りにあり、通行人の見せ物にしようとしたのは明らかだ。 腹が空いてきた君はなんとか両足だけで立ち上がり、大木に何か生っていないか見上げた。 緑色の葉の間にみかんのような果物が生っているのが見える。 落とすことができたら、少しは空腹を満たせるだろう。 カブトムシを落とす要領で大木を蹴る 2ページへ しばらく待ってみる 3ページへ
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