第四話 焦げちゃうくらい熱い夏

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「おぬしら、ハルコが自殺した時本当は何を思った?」 「あ、あが、何って、そりゃあもう、悲しくて……」 「悲しい、とな。そうか、ならば面倒事が無くなってほっとした、というのはどうやらわれの空耳か」 「ぐっ、そ、そんな……」 「女、おぬしはどうじゃった?やはり悲しかったか。邪魔者が居なくなって嬉しかった、というのはやはりわれの聞き間違いか」 「なっ、なんてことを……」  や、やよいさん、そりゃあ事情はとても複雑ですし、確かに『ハルコ』さんの死はただ悲しむだけじゃない微妙な感情が色々混ざってるんでしょうけど、それはこっちが察して突っ込んではいけないのでは……。 「リョウ、納得のいかぬ顔をしておるな。おぬしわれが『悪霊退散』の札を渡した時どう思った?」 「う、そ、それは、あの、『ハルコ』さんってほんとに悪霊なのかなって……」  恋に傷付いて自殺した、勿論自殺なんて良くない、死ななきゃ今は幸せに生きられていたのかもしれないし、でもやっぱり何か辛い……。
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