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「だ、だったら、あんたわしらにどうしろって言うんです? 毎日ひたすら仏壇に向かって土下座して謝れと? それでどうにかなるとでも?」
ヤマダさんの声は震えている。さっき涙ぐんでいたのとは違う、怒りが混ざった声だ。
「ああそうするが良い。ただ怯えているより余っ程ましじゃ」
やよいさんはふん、と鼻で笑うように言い捨てた。
「そ、そんな、どうして今更……」
奥さんも両手で口元を押さえ、涙を必死で堪えている。
「己の心に聞いてみよ。他人に答えを求めるな。
ハルコは苦しんだ。だから自ら死を選んだ。それはハルコだけでなくその周りの者まで不幸に落とす、救い難き良からぬ道であった。
だがのう、ハルコの苦しみの分、おぬしらは苦しまねばならぬのよ。ハルコの死の上で、おぬしらは幸せな生活を築き上げてきたのであろう。
ハルコを、静かに眠らせてやれ。ハルコの平穏を願える人間は、最早おぬしらしかいないのであろう」
きつい口調は徐々に和らぎ、最後は諭すようだった。
僕たちは、誰も口を挟めなかった。やよいさんの言っていることは、多分正しいんだろう。でも正しいことって、時にすごく残酷だったりもする。だから正しいと分かっていても、肝心なこと程言葉にして口に出すのを躊躇ってしまう。
僕には、真似できそうにない。
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