第四話 焦げちゃうくらい熱い夏

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「つ、つい、た……」  とりあえず麗子さんの車で事務所の近くまで乗せてもらったが、生憎近くの駐車場は満車で、結局結構な距離を御祓い疲れでぶっ倒れた上司を背負って歩いた僕。しかもその間ずっと、麗子さんと何故か付いてきてしかも僕の腕に纏わり付いてくるチャイナ娘の物凄く鬱陶しい掛け声のサービス付き。もうどんなハードな運動したんだってくらいの発汗ですから。身体だけじゃなく心からも変な汗が滲み出てますから。ついでに涙腺からも涙という名の汗が……。 「ああん、リョウさまぁ~」 「ああん、この映像!何度観てもぉ……」  絶え間なく聞こえてくる脳が全力で理解することを拒んでいる言葉の数々を背に、いそいそと布団を敷いて上司を寝かせる。 「う、うう、リョウ、茶を、茶を……」  ってかまだこき使いますか。しかし何お茶を飲まなきゃ死ぬみたいな声出してるんですかやよいさん。 「あ、忘れ、て、おった、しゃ、謝礼の請求、電話、頼んだぞ」  今「ぐふっ」っていう断末魔の呻きが聞こえたような気がしますが。そんなの帰る前に済ませりゃいいのに、でもくたばる前にしっかり金のことは思い出すんだもんなぁ。 「リョウさまぁ~~~!ああん、恋の炎が心を燃やすアルよ~!」 「ああん、火がぁ、火がぁ!」  ああもう、暑苦しいわお前らぁ!こっちはもう十分焦げてるっての!  ……無理、この暑苦しさに慣れるなんて、無理……。
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