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犬神《シン》 夜雀《雀》
ホォー ホォー
雨はすっかり止み、ミミズクが闇の中で鳴いている―
ガラガラ 〔戸を開ける〕
《袴姿の男》「ただいま。」
そう言うと座敷の奥から男の声がした。
《雀》「おー。お帰り、シン」
袴姿の男…《シン》は玄関から声のした座敷へ向かう。
《シン》「ただいま、雀。あれ、みんなは何処かへ出かけたのですか?」
《雀》「あぁ。町の方にちょっとな。ところで・・・。」
今まで顔を上げていなかった雀がシンを見て、言いかけていた言葉を切り、びっくりしたように目を見開いた。
《雀》「―おい。お前、それ…。」
雀はシンが抱いている赤ん坊を指さして言った。
《シン》「うん?どうかしましたか?」
シンは不思議そうに雀を見つめた。
《雀》「どうかしましたか、じゃねぇだろ!お前のその手に持ってるの、人間のガキじゃねぇか!」
雀は不思議そうに見ているシンを睨みつけ、大きい声で言った。
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