EP.1「プロローグ」

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「よし、動くなよ」 警察官四人が私を取り囲んでいる。しかも全員が銃を構えている。 「今コートの中に銃を入れただろ」 「ああ」 「危険だ、脱げ」 「この中は下着姿なんだが」 あまり脱ぎたくはないので、とりあえず嘘をついておく。 「嘘をつけ」 一瞬で見破られた。 「やれやれ」 白衣を脱ぐ。本当に下着姿なのかと一部の野次馬がざわついたが、当然そんなことはなく、白衣の中はYシャツだ。 「地面に置け」 「あまり汚したくないんだが」 「いいから置け」 せめて受け取ってほしいのだが、とてもそんな親切な事をしてくれるようには見えないので仕方なく地面に置く。 「よし、九時四十二分。現行犯逮捕」 手錠をかけられる。警察官たちは銃をしまうと、一人は子供の下へ行った。 「酷いな、気を失ってる」 「酷いだろう、あの男力だけはありそうだったからな」 「黙れ!」 警察官の一人が私の耳元で怒鳴る。正直とてもうるさい。 「な、なんだこれは!?」 警察官が私の白衣を拾い上げ驚愕している。 「ああ、大切にしてくれよ、大事な宝物なんだ」 「宝物ぉ!?」 私の白衣の中には大量の銃がしまってある。拳銃、ショットガン、マシンガン、マグナム。数も種類も豊富だ。 「来い! 署でたっぷり話を聞いてやる」 「優しくしてくれ、こう見えてもデリケートなんだ」 銃を白衣の中に隠し持っている女がそんなに不気味なのだろうか、警察官は私の軽口に反応することなく、ただ私を連行していった。
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