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ぎゃあ―――――!!!
「ひっ!」
カラスのしわがれた声が山に響いた。佐紀子は思わずその場にしゃがみこむ。
「も、やだぁ…。なんなのよぉ……!!」
涙目になりながら佐紀子は体を震わせた。
歩き疲れと空腹と暗闇がどんどん佐紀子を追い詰めていった。
「帰りたい…お母さん……」
そう言って顔を上げた。
「…え?」
「うそ、なんで??」
視線の先には相変わらず森が続いていた。しかしその木々からはわずかにだが光が差し込んでいた。それもかなり広範囲に。
「……」
佐紀子は立ち上がった。
あの光の先になにがあるのか、佐紀子には検討もつかなかった。けれど暗闇の中、うずくまって何もしないよりはよっぽどましだと思った。
佐紀子は光に向かって歩きだした。
佐紀子は次の日の朝になっても家に帰って来なかった。
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