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光を目指し歩いていた佐紀子の目の前に広がったのは、広大なすすき畑だった。
「………え?」
佐紀子は呆然とする。
すすきは開けた土地を埋め尽くすように生い茂っており、風が吹くたびに互いに擦れあってかさかさと音を鳴らした。
その土地の先には街が見えた。だがその街の雰囲気や建物は現代日本のそれでなく、中国の秦や唐の時代を思わせる作りだった。街の中央には大きな塀で囲まれた屋敷があり、屋敷は他の建物とは比べものにならないほど大きかった。
その敷地の中には黒い塔が建っていた。佐紀子は中学の修学旅行の時に見た五重の塔を思い出す。黒い外壁に赤い屋根の五重の塔は不気味な雰囲気を漂わせていた。
「なに…これ…」
山の中とは考えられない景色。佐紀子はまるで夢の中にでもいるような気分だった。
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