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「ぐぇ」
何かが潰れたような声が聞こえたと思うと男が倒れた。何事かと佐紀子は倒れた男に目をやる。
男の喉に深々と矢が刺さっていた。
横を向いて倒れた男の、光を失った瞳と目が合った。
「――――ッゃああああああああああああああああああぁあああ!!!!!!」
佐紀子は叫んだ。
その叫びを皮切りに次々に佐紀子の元に矢が降ってきた。
「ひぃいい!!!」
佐紀子は転がるようにして逃げだした。
すすき畑に身を隠し、必死に走った。何度も転び、すすきの葉や茎で肌を切ったがそんなものを気にする余裕など無かった。
先ほど佐紀子がいた場所には刃物を持った男たちが集まっていた。何かを叫びながらすすき畑をかきわけている。
あれは自分を探しているんだ!佐紀子は思った。そして見つかったら最後、自分は殺されてしまう!!
山に迷い、人に襲われ、今度は命を狙われる。
もうわけがわからなかった。
(なんで!?なんで!?なんでなんでなんでよぉお!!!)
佐紀子は泣きながら走り続けた。
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