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日は傾いて空は橙色に染まり、山影に隠れかけている太陽は細い光を放ってきらきらと輝いていた。
黄昏時。
これから夜が始まろうというこの時間に彼女は森のなかにいた。
「…どうしよう」
薄闇に包まれる森の中で湯川佐紀子(ゆかわさきこ)は呟いた。
辺りが暗くなる前に森を抜けなければ危険であることは十分承知していた。しかし彼女は完全に帰り道を見失っていた。どこを見渡しても木が密集しており、空すらも覗くのが難しい。ただでさえ薄暗かった森はどんどん明るさを失っていく。
(こんなことなら止めておけば良かった…!!)
後悔してももう遅い。
気付けば鳥の鳴き声すら聞こえなくなっていた。
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