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「つ、…ついた」
佐紀子は息を切らしながら肝試しのゴールの祠の前に立っていた。
祠は長い階段の頂上にある。佐紀子はじんわり汗をかいていた。
「ここにノートでも置いてゴールした人に名前かかせればいいよね」
細かく計画しているあたり案外自分もこのイベントに乗り気だったのかもしれないと佐紀子は思った。
「えっと、ここまでかかった時間は…」
そう言って携帯電話を制服のポケットから取り出そうとしたときだった。
「っあ!」
携帯電話につけたストラップがポケットに引っ掛かり、手から携帯電話がこぼれる。携帯電話は階段の外側、コースを外れた急斜面を滑り落ちていった。
「やっば!」
佐紀子は慌て階段を下り、携帯電話を探した。
携帯電話を探すことに夢中になっていたためか、佐紀子はいつの間にか順路を外れていた。
そして携帯電話を見つけたときにはもう辺りは暗くなりはじめていた。
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