雪白、深紅、浅葱色、そして鬼の秘め事

29/29
11384人が本棚に入れています
本棚に追加
/1260ページ
「沖田助勤。土方副長のお誘いで入隊しました。 諸士調役兼監察方の山崎烝です」 にっこりと完璧な笑顔で頭を下げる男。 所謂外面という奴か。 「ふーん。……斎藤さんにはちょっかい出さないでくださいね?」 沖田も外面か。 こいつら、結構似ているな。 「ちょっかい?出すはずないでしょう? ……ただ、私は“諸士調役兼監察方”ですので……」 規律を乱せば容赦せぬ、とでも言いたいのだろう。 しかし、元より私はそのようなつもりはない。 よって特に問題はないが、こいつに見張られるのは気持ち悪い。 「……一」 笑って睨み合う二人の横で、土方副長が手招きする。 そうだ。 新年の挨拶をせねばならぬ。 「土方副長。明けましておめでとうございます」 「ん?おぅ、おめでとう」 礼をしていた頭を上げると、土方副長の掌が頭に乗った。 「お前、苦労するな?妙な奴等に興味持たれて。 ……山崎には医務室を任せる。だから、元々お前の性別は教えるつもりだったんだ」 「そうでしたか」 そう言っていただけると、多少気持ちが軽くなる。 やはり、私はこのお方の為に剣を振るおう。 改めて忠義を、 「それで、本題なんだが……」 「はい」 「今日の褌の色は?」 「白です」 …………尽くそうと思った。
/1260ページ

最初のコメントを投稿しよう!