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土方副長も褌を好んでいるようだが……こいつもか。
土方副長は良いのだ。
土方副長は鍛えてくださっているのだから。
だが、こいつは違う。
好奇心だか何だか知らぬが、ただの……。
「変態ではないかッ!」
――ガッ
「ぎゃふぅっ!?」
踵で沖田の頭頂部を蹴り飛ばした。
沖田は畳の上を滑り、部屋の反対側の壁まで辿り着く。
何なんだこの男はっ。
時折ビクビクと痙攣する沖田の首根っこを掴み、廊下へ投げ捨てた。
「……はぁ……」
音を立てぬように障子を閉めて、その場に座り込む。
まるで嵐だ。
ずかずかと無遠慮に入り込んで、引っ掻き回していく。
一番厄介な男に知られてしまったようだな。
「………」
……先が思いやられる。
姿勢を正して刀の手入れを始めると、ふわりと甘い香りがした気がした。
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