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「ですよね・・・。」
大きく溜め息をついた。理由はわからない。しかし勝手に気ままにそうしたかっただろうから溜め息を少年はついた。輝夜は何故か肩を揺らし静かに笑っている。
「何かおかしいですか?」
「いえ?何も面白くないわよ?だけど笑ってしまったのよ。勝手に気ままに、ね。」
「姫様は変なお人ですね。」
「あら、よく言われるわ?」
他愛もない、何の意味のない会話を繰り返していると自然に意味が見いだせるようになる。それは見つけようとして見つけるものでなく、勝手に見つかってしまう。そんな簡単な理由だが、人間にとってそれは大切なモノなのだ。
満月が輝く光の下、二人の男女は縁側で笑っていた。理由はわからない。ただ、何となく楽しくて勝手に気ままに笑みが溢れるのだろう。
「有と話せてよかったわ。当初の目的がなくなってしまうくらいにね。」
「目的?永琳さんから何か言われたんですか?」
「私は永琳に話を聞いただけ。ここに来たのは私の意志よ。」
「そうなんですか。ありがとうございます。」
「私が勝手にしただけだからそういうのは無しでお願いするわ。固いのとか苦手だから。」
「はい、わかりました。」
「あと、その敬語口調もね?」
「え!?あ、は・・・じゃないや。えーっと・・・。」
「慣れてからでいいわよ。じゃあ私はそろそろ眠るから。いい夢見なさい?じゃ、また明日。」
「おやすみなさい・・・です。」
輝夜は去り際に有に微笑みかけた。とても優しい表情をしていた。夜の縁側、満月が似合う少女と話をして言葉を交わし少しばかり心に余裕が生まれた少年であった。
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