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結局、真相はわからないまま朝食の時間を終えた。誰の手も触れずに突然と現れた服を着ているというのは何だか気持ちが悪い。
「まあ、あまり深く考えても仕方がないんじゃない?今はありがたく着させてもらえば。」
輝夜と共に診察室に移動していた。永琳の姿はまだない。
「そうですね。勿体無いですし。しかし・・・こういう系統の服は来たことがないので似合っているかどうか・・・。」
「とても似合っているから安心なさい?この私が言うのだから間違いないわ。」
「姫様に言われてしまうと受かれてしまいます。」
「よく言うわ。」
昨日と同じ様に他愛もない話をしていると、ゆっくりと永琳が診察室に入ってきた。永琳は定位置である椅子に座ると有を見て口を開く。
「さてと、本来ならここで薬を渡すのだけれど、貴方には少し聞きたいことが出来てしまったの。質問しても構わないかしら?」
「ええ、どうぞ。俺の答えられる範囲でよければ。」
「そう。なら遠慮なく。貴方が竹林で倒れるもっと前の記憶は覚えているかしら?一年前とか。」
「・・・一年前ですか・・・。」
右手を顎に当てがいながら考え始めた。
永琳と輝夜はそれをじーっと見つめながら黙っている。
「よく・・・思い出せません。なんか頭の中にモヤが掛かってる感じで。」
「そう、ならこの薬を飲みなさい?」
そう言って永琳は小さなカプセル状の薬一粒を有に手渡す。有も永琳の言葉に少し違和感を覚えつつその薬を受け取り口に入れた。
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