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少年は、ただ願っていた。世界から自分の存在が無くなる事を。嫌気が差していたのだ。どんなに理性が働こうとも欲望は押さえきれない。
そして弱者は強者に屈する。世界の理屈とは単純に誰かの主観から生まれたモノだ。少年は生きたくなかった。物事を判断するうえで半数以上の意見が集まればそれは人々の常識となり、異端なモノは排除される。
少年は普通ではなかった。大勢の人間が考える普通の事が何故に普通になってしまったのか知りたかった。常識とはなんなのか。ルールとはなんなのか。普通とはなんなのか。
少年は疲れていた。自分以外がいなくなってくれとは思わない。せめて自分の存在は世界から忘れて欲しいと願う。
そしてその願いは形になる。
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