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唐突に眼を覚ますと、光が目に刺さった。まだ半開きもしていない瞼を開けて体を起こすと、自分の太股当たりに適度な重さを感じた。黒く長い美しい髪を携える少女、蓬莱山輝夜がそこにいた。しかも寝ていた。
「何で輝夜さんがここに?・・・輝夜さーん起きてくださーい。朝ですよ?」
優しく体を揺すると、声が漏れそして眼を覚ました。寝ぼけ眼を手で擦りながら体をお越し少年を見つめる。
「あら、やっと起きたのね?」
「それはこっちのセリフですよ?」
「貴方は昨日のお昼頃からずっと寝ていたのよ?」
「マジですか!?ってか、何で輝夜さんはここに?」
「ここが私の家だからだけど?」
「・・・そういう事ではなくてですね、何故、俺の上で寝ているんですか?って聞いてるんですよ。」
「それは、貴方が心配だったからに決まってるけど?」
「それはどういう・・・」
「強いて言うなら、貴方がとてもとても心配で眠れなかった、ということよ。」
「輝夜さん寝てましたよね!?」
「あれは睡魔という妖怪が私に襲ってきたの。私は必死に貴方を守ろうと庇ったんだけど、敢えなく負けてしまった。」
「そんなカッコいい話にしないでください!輝夜さんの寝顔とても安らかでしたけど!?」
「やだ有ったら、女の子の寝顔を覗き込むなんて破廉恥な。もう少しで私は襲われるとこだったわ。」
「俺はチキンなんでそんなことできません!!」
「あらあら、自分から童貞を告白するとはさすがの変態ね。」
「何で童貞ってわかるんですか!?そんなこと言ってないですよ!?」
「童貞じゃないの?」
「そうです、俺は童貞です!」
輝夜の表情は勝ち誇り、有の体勢は床に手をつき這いつくばった。
「童貞談義はこれくらいにして、朝御飯、食べに行きましょう?」
「そんな談義は行われてませんけどね・・・。」
二人は立ち上がり、有は布団を綺麗に畳み部屋の隅に置いておく。先に襖付近で待っていた輝夜の元へ急ぐと部屋を後にした。
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