3rd episode

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永遠亭の自室、細かく言えば永遠亭の客室なのだが今はとくに関係ない。今後一切関係無いだろうが。縁側に座り一人月を眺めている有は何故か浮かない顔をしていた。特に何か永遠亭のメンバーに迷惑を掛けた訳でもなく、だ。 「有?お夕食の時間なのだけど。」 襖を隔てて輝夜の声が聞こえた。そして襖が開かれ輝夜自身が姿を現す。それはここ2・3日で見慣れた当たり前の光景だ。 「輝夜さん・・・」 「どうしたの?」 輝夜も心配したのか、有の隣に座り相手の顔を覗き見る。長く美しい髪を強くもなく弱くもない丁度良い夜風が靡かせる。 「いえ、少し考え事をしていて。」 「また考え事?今度はどんな?」 「色々ですよ、永琳さんや輝夜さんにお世話になりっぱなしだなーとか、妹紅さんどうしてるかなーとか、そんなもんですよ。」 「へー、居候している事に罪悪感があったのね。意外だわ?」 「・・・そんな呑気な顔してましたか?俺。」 「ゴミ、いえ有は記憶障害を起こしているのだから仕方ないわよ。永琳の大事な患者なのだから。」 「今、ゴミって言いましたよね?」 「失礼、噛みました。」 「違います、わざとです。」 「噛みませんでした。」 「本気だったんですか!?」 と、どこかのツンドラ女子高生とほとんど人間の男子高校生が繰り広げそうな会話をしながら場を持たせる。 「ともかく有、あなたはそういうことを気にしなくていいの。なんなら、永遠亭の一人としてここに住むというのでもいいのよ?」 「それも面白そうですね。でも、それはさすがに迷惑を掛けるわけには・・・」 「・・・だからそういう事は気にしないでいいの。さすがに住むとなると色々と手伝ってもらう事になるとは思うけど。」 「例えばなんですか?」 「永琳の新薬の実験体とか。」 「・・・それはなんだか嫌な予感がメチャクチャするんですが・・・。」 「大丈夫よ、1、2日気を失うだけだから。」 「それは大丈夫と言えるんですか!?」
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