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「水無瀬有というのはお前の事か?」
部屋に入ると見知らぬ少女にそう問いかけられた。青と白を基調とした服装に9本の狐の様な尻尾を生やしたその少女は有を睨み付けていた。
「・・・誰ですか?」
自然と身構える有。
「・・・見知らぬ者に対するその警戒心は実に正しい。大事にするといい。私は八雲藍。八百万の八に雲隠れの雲、藍色の藍だ。」
「えっと・・・俺は・・・。」
「自己紹介はいい。もう知っている。お前も知っているだろうが八雲紫は私の主人さまだ。覚えておくといいぞ。」
「はぁ・・・で、藍さんは何の為にここにいるんですか?」
「あぁ、そうだ。紫様より言伝てを頼まれてだな。’博麗の巫女に会いに行け’それだけだ。では私は失礼する。さらばだ。」
それだけ、本当にそれだけ伝えると八雲藍は姿を消した。紫の様にスキマを開いて消えたのではなく、一瞬にしていなくなった。
「有?朝御飯の時間よ?」
いつもの様に輝夜が部屋に呼びに来る声が聞こえる。その声で有は考えるのを辞めにして着替えることにした。また、部屋に似合わぬ色の服が置いてあったのだ。今度は緑の着流しに白の袴。
「いつも誰が用意してるんだ・・・?」
とりあえずそれに着替える事に、やはりしっくり来て着心地がいい。何故だろうか。そこに丁度、輝夜が襖を開けてやって来た。
「・・・!?有、その服は・・・?」
「前みたいに置いてあったんですよ、似合いますかね?」
「・・・うん、かっこいい。」
ボソリと輝夜。
「・・・輝夜さん?」
「え?ああ!そうご飯の時間だから呼びに来たのよ!行くわよ?」
ふと我に帰りあたふたとする輝夜を有は不思議そうに見ながら2人は朝食へと向かって行った。
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