143人が本棚に入れています
本棚に追加
辺りは暗く、月の光と妹紅の炎が辺り一面を照らしている。
「・・・ふぅん、そういうもん
なのかしらね?」
不思議そうな表情で言った。
「どういう意味だ?」
妹紅にはわからない。
「いえ、何でもないのよ。どう思うが貴女の自由。私を殺そうとするのも貴女の自由。妹紅がどう生きようとそれも自由。自由って、良いものだけど案外つまらないモノだったりして。」
「何が言いたいんだお前は。訳わかんねぇーこと言ってると焼くぞ?」
「あら、有?どうしたの?」
「なっ!?」
輝夜は妹紅の背後に目を向けて声をかける。あたかもそこに人がいるような素振りで。妹紅は急な出来事に驚いたのか後ろを振り向く。当然、そこには誰もいない。輝夜と妹紅、2人だけである。
「輝夜てめぇー!!」
動揺した事に、動揺させられた事に激昂する妹紅をなだめる様に静かな口調で輝夜は続ける。
「・・・有は戦いを望んではいない。」
「・・・?」
「私たちの戦いを望んではいない。一生殺される事のない殺しあい。そんなの悲しいだけじゃない?」
「・・・うるせぇ、うるせぇよ。私がどんな想いで生きてきたか、どんな想いでお前を恨んできたかわかるのかよ!?」
「わからない、でも理解することは出来る。理解して和らげる事が出来る。私にも落ち度があったかもしれない。だから許して欲しい。あの人のためにも。」
そう言って輝夜は頭を下げた。
「・・・か・・・ぐや・・・。」
妹紅の声は涙混じりだった。
「それ・・・でも・・・それでも、私の苦しみはお前には理解する量が多いぜ?」
「大丈夫、私たちは不老不死なのよ?ゆっくり時間をかけて生きていきましょう。」
妹紅はその場に泣き崩れ、輝夜は妹紅をやさしく包み込む。2人の不老不死、生きる時間は永遠。募る想いもまた永遠である。しかし、永遠に苦しむ必要なんてない。誰かと共有すれば、それが絆となる。今夜は綺麗な満月だった。
最初のコメントを投稿しよう!