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尻餅をついて痛がっていると目の前に赤く大きい鳥居が目に入る。そして、後ろを振り向くと立派な社とやけに目につく賽銭箱。
「有、大丈夫?」
スキマから出てくる紫である。
「紫さん・・・落とすときは最初くらい何か言ってくださいよ・・・。」
少しツッコミどころが違う気もするが、有は腰に手を当てながら立ち上がる。有が落ちてきた場所は丁度、鳥居と社の真ん中だった。
「・・・それより、ここが博麗神社ですか?」
「その通り。唯一無二の外界との門がある場所。本当なら幻想入りした人間はまず、ここに自然と来るようになってるんだけど。」
「俺がそうじゃなかった、イレギュラーだったって事ですよね?」
「賢者たる私にも貴方の幻想入りが分からないからね・・・。何とも言えないのは確かよ。」
「なら、博麗の巫女さんになら何か分かるかもしれないんですね?」
「うーん・・・それも分かるかどうか微妙何だけどね・・・第一、こんな時間に起きてるかしら?あの娘。」
真っ黒に染まる空には美しく輝く満月が昇り、辺りは静寂に包まれどことなく不気味な雰囲気が流れている。ぶっちゃけて言うと現代で言う深夜2時頃である。
「さすがに無理があるんじゃないですか?もう寝てますって。」
「いいえ、方法ならあるわ。」
会話をしながら参道を歩き賽銭箱の前までやって来た。賽銭箱は、いかにも中に何も入ってなさそうな雰囲気を出し続け、箱自体に古びた様子もないのに心に寒い風が吹きそうな、そんな賽銭箱。
「ここにお金を入れるのよ!」
紫は超真剣な顔つきで、今にもこの世界が暗黒大魔王的な何かによって破滅を迎えてしまうような顔をして、超くだらない事を言ってのけた。そんな紫に対し、有は開いた口を閉じるのを忘れるほど唖然とした。
「あら?そんなに見つめられても私が恥ずかしくなるだけなのだけど?」
と、紫。本当に顔を赤らめて言った。
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