5th episode

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紅い門、紅い外壁、紅い館。この館の主である吸血鬼の名前らしく、それにちなんで作ったためにこんな眼がチカチカする建物になったと霊夢から聞かされていた。 「確かにこれは・・・眼が痛い。この時点で敵の策略にはまっているのか俺は!?」 無駄な深読みをする主人公。。それはカリスマを失ったらただのバカに成り下がる吸血鬼がただ気分で作ったらこうなった、とは誰もが考えつくはずもないと思うが。 「おや?貴方はお客様ですか?それとも敵ですか?それともどっちでもないですか?」 「なっ!?」 急に有の目の前に現れた少女。緑のチャイナ服を身に纏い、頭には''龍''と書かれた星が付いた小さい帽子を乗っけて、緋色の長い髪を風に靡かせその少女は有の首もとに手刀を突きつける。 「(気配すら感じなかった・・・。)ええっと、この紅い霧の出所がここなんじゃないかなー?って思って来てみたんですけど・・・」 「あぁ・・・霊夢さんのお使いさんでしたか。なら、納得です。」 そう言うと少女は手刀を引いて警戒を解いた。 「霊夢のお使い・・・って?」 「霊夢さんがですね、先程ここに来まして“前の様に霧を出して欲しい“と言いに来たんですよ。それで訳を咲夜さんが聞いてみると、“ちょっと痛め付けたい子がいてね。“って笑みを溢しながら言ってたんです。」 「へぇ・・・」 背中に寒気が走る。 「私としては全然館に入ってもらうのは構わないんですが門番としての仕事もあるので・・・。」 その場でゆっくり手足を動かして拳法の様な構えで有を見据える。 「やるからには全力でいきますよ?」 凛とした表情になると、もうそこには少女の姿はなかった。
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