5th episode

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有が少女を見失ったと頭で認識するより先に、自分の顔には綺麗な足が迫っていた。それが敵の攻撃であると認識するより先に顔面に直撃し、有の体は弾き飛ばされた。 「ぐああっ!?」 後方の木々を何本か倒した所で、有の体は止まった。それでもまだ木の幹に体がめり込んでいる状態。 「さぁ、どうしました?貴方はこの程度ですか?それとも立ち上がりますか?」 少女は先程、有を蹴飛ばした場所から一歩も動かず構えて様子を見る。 「くっ・・ははっ。つぇっすね。歯が何本か持ってかれた・・。」 笑いながら口の中をモゾモゾと動かすと、白い塊の様なものを3個吐き出した。次に、木にめり込んだ体を出そうと力一杯入れる。 「・・・貴方は頑丈な人ですね。あれでも私は約90パーセントの力で貴方を蹴り飛ばしたんですが・・・。」 「そうなると残りの10パーセントがめちゃくちゃ怖いんですがねっ・・・!」 やっとの思いで木の幹から脱出した有だが、さっきの一撃で口から血が滴り、頭からも出血している。それでも有は、自分の武器である剣を取り出さず目の前の少女と同じように拳を握り構える。 「私と素手でやりあうのですか?」 「あぁ、君は俺より強い。だから君の強さを同じ土俵に立つことで学びたくなったんだ。」 「変な人ですねぇ・・・。だけど、そういう向上心を持っている人は嫌いではないです。」 「ありがとう。じゃあ、仕切り直して・・・。」 グッと構えに力を入れる有。 「では、参ります!」 そして少女は消えた。
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