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フラフラと立ち上がる体は足が震え、所々の出血が酷い。とても打撃だけで受けたダメージでは、ないような出血の仕方。
「そんなになってまでやるんですか?貴方には戦うことは不可能です。もう倒れてください。」
息を荒く肩が上下に動く。呼吸するたびに胸部が苦しい。心臓が締め付けられる。
「確かに、もう腕は使い物にならないし、血も半端なく出てる。もう動くのも辛い。だが、勝負は最後までやるもんだ。そうじゃないですか?」
ゆっくりと左腕を上げ握り拳を作るとフッと不適な笑みを溢し相手の少女に対して構える。
「諦めない、と言うことですか。良い心意気ですね。ならば私も全力で止めを刺しますよ。」
有と同じように少女も構える。
「・・・いつでも良いですよ?」
「そうだ、まだ名乗っていませんでしたね。私の名前は紅美鈴(ホンメイリン)、この紅魔館の門番です!」
その言葉が言い終わった後なのか、前なのかそれすらも有には分からなかったがただ一つわかるのは右頬に今まで感じたことがない衝撃を味わった事だ。そこで有の意識が途絶えた。
それから何時間という時間が過ぎて、現在は現代でいう午後7時30分頃。真っ赤に染まった空はもうすっかり無くなり満点の星達が輝きを放っている。
「くっ・・・いっつ・・・。」
目を覚ますとそこには見慣れた天井。こっちの世界に来てからの初めて見慣れた天井。体をゆっくりと痛みが走るのを耐えながら起こすと、そこはやっぱり見慣れた風景だった。
「いつの間に・・・。」
永遠亭だった。部屋の明かりは消されていて縁側から月明かりも入ってこない。唯一の光は廊下に付けられた電球。ちなみに有の体は現在約9割が包帯で占められている。
「・・・・。」
何をするんでもなく、誰かを呼ぼうともせず有は再び布団に倒れた。
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