5th episode

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「・・・有・・・。」 「もう少しやれると思ってたんです。だけど力の差を見せつけられた。手も足も出なかった自分が情けなくて恥ずかしい。いっそのこと殺してくれればよかったのに・・・。」 「!!」 自分と妹紅の殺し合いの喧嘩をやめるきっかけをくれた人物が“殺してほしかった“と嘆いた。その発言に輝夜はとっさに右手を出し平手打ちをしようとした。しかし、輝夜が手を出す前に有はある人物から平手打ちを貰っていた。他でもない、八雲紫である。ずっと有の近くに隠れて会話を聞いていたのだ。 「八雲紫・・・」 「紫さん・・・。」 二人はうつむいたままの紫に目を移す。 「そんな簡単に“殺してほしい“って言わないで。この世界や他の世界には生きていたくても何かの影響によって突然死が訪れる人もいるの。その人達よりも貴方は幸せなのよ?言ってること、解るわよね?」 「・・・・・・。」 「それに、貴方もう一人ではない。多くの者と関わったの。貴方の事を心配する者を簡単に裏切るつもり?」 「・・・八雲紫の言う通りよ、有。貴方は自分が思っているほど回りに影響を与えている。この私や、八雲紫の様に。もう一人ではない。共に支え合う仲間が出来たことを覚えていてちょうだい。」 何も言うことが出来なかった。たった数日の間一緒に過ごしただけなのに、これだけ思っていてくれるとは知らずに“殺してほしい“と言ったことを恥じる。 「ごめんなさい・・・。」 「わかれば良いのよ。」 有が謝ると2人の少女は笑顔に戻る。その時だった。廊下からスゴい勢いで走ってくる足音が聞こえた。鈴仙だった。鈴仙は慌てた表情で襖を開けて 「たたたたたたたたたたたた大変ですっっっ!!!竹林に!!竹林にぃぃぃぃぃ!」
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