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「ハァハァ・・・どうなってるんだありゃ!?」
藤原妹紅も化物の存在にいち早く気付き急いで永遠亭に向かっていた。化物の様子を走りながら見ていると時々、苦しそうに声を上げている。もしかしたら輝夜達がもう攻撃を仕掛けているのかもしれないと、より急いだ。
そのころ、輝夜達はというと。玄関先で立ち竦んだままだった。彼女達が何もしなくても化物はうめき声を上げて反撃出来ない。その原因は
「覇ァァァァァァァ!」
おぞましい轟音と共に化物を蹂躙する有の姿だった。髪は白く逆立ち体の回りには電気が発生し、眼はつり上がった今までの面影など無い有の姿。閃光が走る度に化物はうめき声を上げてそれは鳴り止まない。
「覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇覇ァァァァァァァ!」
化物の体が一瞬で何10回も凹み、そして口から血を大量に吐いて倒れた。
「おーい!輝夜ぁ!大丈夫か!?」
ここでちょうど遅れてきた妹紅登場である。
「妹紅、遅かったわね。」
輝夜は、妹紅とは逆に慌てる様子もなくただ平然と腕を組んで(左右の手を着物の裾に入れた姿勢)立っていた。
「そんな悠長な事いってる場合じゃねぇよ!あのバケモンどっ!・・・あれ?倒れて・・・る?」
「ええ、有が一人で倒しちゃったの。」
「アイツが?」
輝夜が指差した先を見つめた妹紅の眼に飛び込んだのは、全身血だらけの白髪逆立った男がこちらを見つめている姿だった。
「有・・・。」
「うっ・・・」
妹紅が呼び掛けようとした瞬間、有は全身の力が抜けたのかふにゃふにゃと地に倒れ白い髪も黒色に戻っていった。体を纏っていた電気もない。
同時に竹林を潰して倒れていた巨大な化物も光の粒子となって消えていった。
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