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「そうかい・・・なんにせよ、記憶が戻らないことには動けないってんならまず医者に見てもらいなよ。私が医者の所まで案内してやるからさ。」
すでに完食していた妹紅は胡座をかいて言葉を繋げる。だが、その表情はどこか嫌そうな感じだった。何故かと思い有は単刀直入に聞いてみる。
「何か嫌な事でも?」
「医者の所には殺したいほどムカつく奴がいてさ、あんまし行きたくねーんだけど・・・。」
それを聞いた有はこの時はまだ、子ども同士の喧嘩みたいなものだと思っていた。だが、それを越えた壮絶な喧嘩を近いうちに知ることになる。
「んー・・・そんなに嫌なら自分一人で行きますよ?」
「バカか、竹林で倒れてた奴がたどり着ける所じゃないんだ。それに道を知っていたとしても記憶ないんだろ?」
彼女の言っていることは正しかった。
「それも・・・そうですよね・・・。」
「近くまでは案内してやるから、後は自分で何とかしな?」
と言い終わると妹紅は床に何も敷かずに寝そべり目を瞑った。
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