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目を覚ます。
体を起こす。
自分の部屋だと確認する。
一連の作業が終わると、昨日。いや、昨日では無いかもしれない記憶について思い出していた。
巨大な化物。
血だらけの白髪の男。
全部覚えている。
自我を無くしていた訳では無かった。気持ちが突然高揚したとでも言えば良いのか。何がなんだか分からないのに理解はしている。あれは俺だ。
嫌な感じだった。今までの自分の生き方を根底から否定する様な存在。元からそれが自分なんだ、と、理不尽に押し付けられる様な・・・言葉じゃ説明出来ない感覚
考えを巡らせるほど分からなくなる。一体何があったのか。
「入るわよ?」
輝夜ではない違う人物の声。襖を開けた人物は永琳だった。
「もう起きている頃だと思って来てみたら正解だったようね。」
ゆっくりと襖を閉めるとその場に正座して有を見つめる。
「勘・・・ですか?」
「よく言う“女の勘“ってヤツかしらね?あまり根拠の無いものは好かないのだけど・・・貴方も今後気を付けなさいよ?姫様の勘は私より当たるから。」
「それってどういう・・・」
「まぁ、それは後々に期待する
として。本題に入りましょうか?」
「・・・本題というのは?」
「あの化物と貴方の関係性について、よ。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・自分でもよくわかっていない様子ね?覚えていないの?」
「覚えている、んですけど何かはっきりとしなくて。あれが本当に自分なのかどうかという第3者的目線で覚えているのですよ。」
「よく分からない表現ね。自分の起こした行動を客観的に記憶しているということ?」
「多分、そんな感じです。」
「ホント貴方ってよく解らないわ。貴方の体を解剖して調べないと気がすまない。」
「それは是非やめてください・・・。」
土下座。
「で、客観的に記憶しているということは貴方がどういう感情になっていたかっていうのは分かるかしら?」
「・・・ただ、目の前の化物を見ると気持ちが高揚して叩きのめすのが楽しかった・・・つまり狂喜的な感情を抱いた事に間違いはありません。それ以外は・・・。」
「・・・そう。」
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