6th episode

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「思い出したのは・・・全身が血だらけになって立ち尽くす俺と、その周りには切り刻まれた死体が地平線の彼方まで続く光景・・・それだけです。」 自分の履いている袴を握りしめうつ向いたまま話す。 「何・・・それ・・・。」 ショックだったのか輝夜は言葉が見つからない様だった。何て言ったらいいのか言葉が見つからない。不確かな記憶で確実性は無いにしろ、その場にいた全員が驚いた事に違いない。 「そう、ありがとう。あとはゆっくり休んで頂戴。姫様は・・・有の側にいてあげてください。」 永琳はその場から立ち上がるとそのまま部屋を出た。そして、部屋に残った二人の間に沈黙が訪れる。何を話せば良いのか、どんな言葉を掛ければ良いのか悩んでいる内に数分が過ぎてやっと言葉を口にする。 「・・・でもそれはまだ断片的なモノ何でしょう?だから気にしないで良いと思うわ。」 「気にせずにはいられないですよ・・・あんな沢山の人間を俺一人が殺してしまったかと思うと・・・自分が恐いです・・・!」 泣きながら話す有を見て輝夜は咄嗟に抱き締めた。 「輝夜・・・さん?」 「私がいるわ。永琳や鈴仙、ていだっている。あと妹紅も。辛いときは頼って良いの。貴方はもう大切な人なんだから・・・。」 有は涙眼のまま輝夜と見つめ合う。そのままゆっくりと互いの唇が近づき、そして・・・ 「ちょっと待ったぁー!!」 紫がスキマから乱入してきたのだ。おかげで輝夜は紫の手の甲、有は手のひらにキスすることになった。 「ややややややややや八雲紫!?」 口を拭いながら後退りする輝夜。 「紫さん!?」 有も驚いた拍子に声が裏返る。 「輝夜?一人だけ抜け駆けってダメだと思わない?いくら同じ屋根の下に住んでいるからって悪用したらいけないと思うの。有も私という女がいながら雰囲気に飲まれてキスしようするとなんて・・・。」
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