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「・・・せっかく良いところだったのに・・・。」
ものスッゴい小さい声で呟く輝夜。
「で、紫さんは何をしに?」
有は冷静だった。いや鈍感なのか。
「有が眼を覚ましたから様子見と、さっき貴方が話してた内容について。」
「記憶・・・ですか?」
「それもあるけど、今は確かでは無いんでしょ?なら、ほっときましょう。気になるのは新しい能力について。」
「あー、それ私も気になったのよ。記憶の話がインパクトが強すぎてスルーしちゃったけど。」
輝夜は少し不機嫌ながらも、もといた場所に座り二人の会話に割って入る。
「それなら見てもらった方が早いかもしれないですね。上手く口で説明出来ませんから。」
そう言って布団から出て縁側から庭に出る有。それを見ていた輝夜が慌てて庭の有に声をかける。
「ちょちょっと!?体はもう大丈夫なの?」
「大丈夫です!」
輝夜に笑顔を向けると、右腕を地面と平行になるように上げて集中して
「ハァッ!」
勢いよく声を上げると右腕から電気が発生した。バチバチと音をたてながら纏わりついた電気はやがて手に集中し姿を細長い剣(日本刀の様な)に変えた。
「こんな感じです。」
「電気・・・まるであの時と一緒ね。電気を体に発生させながら化物を倒した時と。」
輝夜が心配そうな顔で有を見つめている。それを感じ取ったのか有は笑顔で
「でも、その時とは違ってちゃんと意識もありますし、自分の意思で体が動いてますから大丈夫だと思います。」
「そう、なら良かったわ。にしても“電気“ってなんか地味ね。もうちょっと面白い能力を期待していたのに・・・」
紫はホントにつまんなそうに息をつく。
「そうですか?使いによっちゃ凄い危ない力だと思うんですけど。」
「まぁ、それは貴方の鍛え方次第だと思うわ。そうだわ、有。これから修業しない?」
内心、“何言ってんだこの年増ババアは“と思いながらも有が興味ありそうな顔で食いついていたので輝夜は大人しく話を聞くことにした。
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