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妹紅の家から竹林の道なき道を歩いて行くと開けた場所に日本古風な立派な屋敷が存在した。その名は<永遠亭>。向かっている途中で妹紅が教えてくれたらしい。
「んじゃ、私が案内できるのはここまでだ。後は自分で何とかしてくれ。」
「はい、色々ありがとうございました。」
有は頭を軽く下げて妹紅の背中に向かってお礼を述べる。妹紅は振り向きはしないものの
「また会えると良いな。」
と、言い残し去っていった。
・・・。
はずだった。妹紅の去り際、彼女に声を掛ける少女の声が竹林に響いた。
「せっかく来たのにもう帰ってしまうの?」
有はその声がどこから聞こえたものなのか確かめるべく辺りを見回す。すると、その屋敷の前に佇む一人の少女がいた。
美しい、ただその一言に尽きる、他の余計な言葉は要らないほどに彼女は美しかった。
「・・・今日は殺りきたんじゃねぇ。困ってる人間に救いの手立てを教えただけだ。」
その美しい少女の問いかけるように妹紅は口を開くが、声のトーンがやけに低いのが分かった。それに何か殺気のようなモノも感じる。
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