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「ちょっ、今ジャンケンで決めたじゃないですか!押さないでくださいよ!」
「いや、あれ実はグーだったんだよね」
「思いっきりパーだったじゃないですか!」
都心の片隅で、互いを押し合う青年が2人。
片方は、短めで猫の毛のようなふわふわとした金髪をしている。
漆黒の瞳は、やる気がなさそうに鈍い光を放っている。
もう片方は、黒髪に黒目と、日本人らしい風貌をしている。
顔は聡明で、真面目という言葉が似合いそうだ。
2人はこの暑い日に、真っ黒なスーツに身を包んでいる。
時刻は午後2時。
こんな真っ昼間に、スーツを着た青年2人が押し合いへし合いをしているというのに、誰一人として気に留めることはない。
…彼らは、人間には視えていないのだ。
そう、死神である、彼らは。
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