序章 -生活-

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『…しかし、田中首相も現状を把握しているのでしょうか?…このグラフを見て頂けると分かりますが…前年比と………』 …ニュース番組のキャスターの呆れた声を目覚ましに 俺は目を開いた。 「…痛っ、、」 不意に起きた頭痛に頭を抑え、真横に置かれたテーブルに目をやった。 「……くっそ……水……。」 テーブル上に何十本もバラバラに置かれた空の缶ビール。 ふらふらとした足取りで台所に行き、乱暴に蛇口を捻ると グラスに水を入れ、一気に口へと流し込んだ。 「……ふぅ…」 多少は痛みが和らいだのか、男はボサボサの髪を掻きながら 先程まで寝ていた部屋に戻ると散らばった缶ビールを、どこからか持ってきたゴミ袋へと片っ端に投げ入れ、机上に埋もれてたリモコンを拾いあげ 険しい顔の政治家が映るテレビを消した。 「あぁ~…眠ぃ…。」 そう一言呟くと布団へと倒れ込んだ。
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