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…小学生くらいまでは"おに~ちゃん"って、核レベルの笑顔を振りまいて、後ろをよく付いて来たのに…
…成長期って怖いわ。
そんな事を思いながら上半身を起こすと、ズキズキとした痛みが頭を霞む。
「…厄日だ。」
辺りに散らかった服から適当に着替え、一階へと続く階段を下りた。
……新築とまではいかないにしろ、モデルルームのように綺麗すぎる我が家の一階。
目の前に広がるリビングの真ん中に位置する食卓には、食事が並んでおり、優華と もう一人の女の子が座っていた。
「…賢にぃ、お腹すいたよ…」
女の子は俺を見るや否や、恨めしそうな声を出した。
「亜希…。すまん」
亜希は視線を目の前の食事に戻すと うなだれた。
「亜希、行儀が悪いよ。それに遅れたのは"賢にぃ"のせいだからね。」
亜希の正面に構えた腐れテールこと優華は、亜希を注意すると 冷めた目をこっちに向けた。
「…座んないと食べられないんだけど。」
…まるで邪魔者を見るような目。
中学生の虐めグループに そんな目をする奴いるよな。
…というかさ、今更だけど 実の兄だよ?もうちょっと労り的なものはないんすか?クッソ…、これだから思春期ってやつは…どうせ男でも出来たら"別に家に帰らなくてもいいでしょ?私の人生なんだし"とか言うに違いない。…こうなりゃ今のうちに一発兄貴らしい一言でも言って黙らせた方が…
「座って。」
「はい。」
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