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俺の住んでいる家は桜仲区にある住宅地から少し離れた場所に建てられた、築20年の二階建て一軒家。
辺りにはコンビニが一店と他の家が数軒あるだけで、他には何もなく …正直、都内と言えど奥田舎と比例をしても遜色がない程に閑静すぎる地だ。
昼夜を問わず交通量が殆どないのは、交通の便が悪い事の他に この場所自体に人が殆ど住んでいないことも理由にある。
…何より、近くに首都高があるので わざわざこちら側の道を通る必要もないしな。
そんな、何にもない場所に建つ我が家を背に、黒のショルダーバック片手に 俺は職場へと電話を掛けた。
…さっき、無職でカタツムリニートライフを満喫してると言った 俺こと須藤 賢夜だが、実は ちゃんと働いている。
まぁ……職業上 他人に言えないもんで、、家族である優華と亜希にすら言ってない。
…アイツ等からしたら、俺は今頃 自室で爆睡してるって思われてるんだろうと思うがな、、
………ってか、今更ながら、働いてるのに それを言えない上に小馬鹿にされるのムカつくな。特にあのテール娘。
携帯からのコール音を聞きながら、そんな事を思っていると、
…遠くから一台のトラックが爆音を出し、俺の方へと向かってきた。
場所が場所だけに、トラックの走行音が響き渡るせいもあるとは思うが、何時も以上に煩く感じる。
……しかし、これが俺の"職場"であるから仕方がないっちゃあ仕方ないんだけどね。
トラックは俺との距離が近付くにつれ減速すると、丁度 俺の前で静かに止まった。
……さて、仕事の時間だ…。
俺は手に持つ携帯電話を閉じて、馴れた手つきでトラックの後方から荷台へと乗り込んだ。
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