第1章

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 門をくぐる。と、すぐ大学生達のざわめきに耳を満たされた。軽く歩きながら上がった息を整えつつ周りを見渡してみると、どうやら部活動の勧誘イベントが開かれているようだった。  部活やサークルなんかが門から校舎までのスペースの思い思いの場所に机を置いて宣伝文句を叫んでいる。大体の机は校門から校舎に向かう短い道の両脇に位置しているからかなんだか祭の屋台を彷彿とさせた。  俺は部活に入る気などさらさらないが朝の、そして新学期始まりに相応しいどこか希望溢れる様子に軽く笑みを浮かべながら小走りで道の中央に僅かに残る隙間をくぐり抜ける。  と、肩が誰かにぶつかった。 「っとすいません」  軽く会釈しながら通り過ぎようとすると肩を掴まれた。 「いやいやこちらこそスマン。だから是非お詫びに何かさせてくれ」  振り返るとそこにはやたらと体格のいい柔道着の男が満面の笑顔で立っていた。目が合った瞬間、心なしか肩を握られている手に力が入る。悪い予感しかしなかった。 「す、すいません。急いでますんで」 「まぁまぁそう言わずに! さぁこっちへ来い。さぁ!」  俺は柔道着の男に肩を握り締めたまま半ば引きずられるようにして移動させられてた。朝の爽やかな雰囲気は何処へやら、気がついたら暑苦しく柔道部と筆で書きなぐられた机の前に連れてこられていた。
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