第1章

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第1章

 幼少時代の夢というとどのようなものだろう。俺は戦隊ヒーローとか仮面ライダーとか……、つまり正義の味方に憧れていた。どこかで悪事を働く悪い奴をやっつけて世界を平和にする、そんな存在に。  でもいつからか俺もそんな夢を抱くことを諦めるようになった。小学校低学年の時にガキ大将を気取った奴に目を付けられたとき? 小学校高学年の時に仲の良い友達のカンニングを目撃して注意して喧嘩になり絶交したとき? 高校の時通学電車の中で痴漢を目撃して何も出来なかったとき?  どれが原因かは分からないが現在大学生の俺は様々なそれなりの経験を積み重ねて正義の味方なんて綺麗事の塊みたいに見える夢を諦めていた。  いや、諦めかけていた。  中学時代に考えた正義の味方になるために必要なモノ。『正義を貫く心』と『正義を貫ける力』。これの後者があれば世の中を変えられるのになー、なんてことを大学に入ってなおまだ時々考えたりしているのだった。  さて、そんな少し夢見がちだが平凡な一大学生たる俺なのだがこの後その平凡な道を外れることになるなんて思ってもみなかった。今はせめてその道が上方向に向かっていた事を願うばかりである。
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