運命

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『雅志か...』 老人の放つその声には、無気力の中にも僅かな優しさが感じられた。 -----雅志(マサシ)----- 奇遇にもこの現場に居合わせた、 従者として「この老人」に仕える若者。 「老人」からの強い信頼を持つ、一見して優しそうな顔のこの男もまた、 誰も知らない「異質な過去」を持つ一人だ。 『何時...なのですか?』 少し弱々しくも感じるその声には畏怖も混ざっていた。 その場に居る全員が老人に目を向ける。 『...既に...』 自分以上に弱々しいその声に、 雅志は少し項垂れた。 直ぐさま厳つい男が重く太い声で切り返す。 『我々はどのように致しましょう?』 重い雰囲気の中、老人が静かに言葉を漏らす。 『...戦場の方をお願いします...』
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