厭きれ

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更に近付く顔に気付いたが、目の前にして「眼鏡越し」に見ると、痩せている訳では無く「着痩せ」している事、そして「童顔」だと言う事にも気が付いた。 『貴様!所属と名を名乗れ。』 その声は酒焼けして擦れ、やはり息も強烈な酒の臭いを帯びている。 (このだだっ広い無機質な空間なのに...もはや最悪だ...) しかし男は目の前にまで来た威勢を張る男に答えない訳にもいかず、しかし言いたくも無かったが、少し項垂れ、間を置いて答えた。 『...はい...無所属です。』 目の前の男は少しの時間沈黙してくれていたが、突然目を丸くし、 『無所属?!』 と、瞼が引きつったかの様に目を剥き出しながらそう叫んだ。 と同時に「直ぐに」自ら口を塞いだ...
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