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第二章『試験・上』
試験開始から走り始めた上風刀条は、刀条の狙いである相手ではない、Bチームのディフェンダーに遭遇していた。
Bチームのディフェンダーはすぐさまカメンライド、ベルデの概念装甲を纏った。
緑のアーマーにカメレオンの意匠、更にアタックライドを発動させ、召喚機を装着する。
しかし対した刀条は、カメンライドすらせず、立ち止まりもせず、そのまま相手へと走って行く。
(どうなっている!?)
思考がついてこない、敵を前にしてとる行動ではない、どんな策を持っているのか得体が知れない、そんな疑念と驚きに脳をかき混ぜられながらも、Bチームディフェンダーは更にバックルを開く。
「コール」
そう呟きながら、ホルダーからカードを抜き取るとバックルへ装填して閉じる、。
『カメンライド・ゼクトルーパーズ』
コール、コールライド、概念召喚、または単純にカメンライド、そんな風に呼ばれているこれは、概念を召喚、自立的に戦闘を行わせることができる技術である。
三体の像が表れ、手にしている銃を刀条へ向ける。
「射て」
そう命令されたゼクトルーパー三体は刀条へ発砲、しかし既にかなりの距離を詰められていた為、刀条は前進によってそれを強引に回避、ゼクトルーパーの一体の腕を掴むと盾にして更に強引に突撃を再開する。
残り二体の銃撃を、掴んだゼクトルーパーで受け接近、そのままゼクトルーパーをゼクトルーパーに投げつけ更に蹴り衝突させる、残ったもう一体へ走り、生身の拳で殴りつける。
ゼクトルーパー同士の衝突音に、拳の攻撃音が被る。
「ッ!」
三体の召喚された概念が、その像を霧散させていく。
Bチームディフェンダーは召喚機へカードを装填、クリアーベントを発動させると、その体は透明になり視認から解放される。
しかし距離が詰められ過ぎていた為、刀条は相変わらずの無装甲で接近、ハイキックを一閃する。
「しにぃ、ががッ」
目の前から消えてみせた所で、既に異動する時間を失っていては意味がない。
想像を絶するほどの行動、戦闘力、それを噛み締めるように、彼は装甲を解除させられ、意識も共に刈り取られた。
「……」
近くにこの試験の破壊目標であるキューブが漂っているのだが、刀条は一瞥くれただけで何もしなかった。
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