第一章『箱庭より』

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 †    春夏秋冬 元は、先生事、斜篠からの指示で迷路を進んでいた。  元はゼクトルーパーの概念装甲をカメンライドし、更にバックルを開きカードを差し込む。 『アタックライド』  電子音声を聞き、そして閉じる。 『ゼクトガン』  威勢の良い電子音声を撒き散らしながら、小型の銃が元の右手に表れた。  アタックライドのカードを使用する事で、カメンライドしている概念装甲の、武器や能力を再現することが出来る様になっている。  元は更にもう一枚読み込ませる。 『アタックライド・シールドユニット』  今度は左手に、ZECTと分かりやすく書かれた大きめの盾が表れる。  準備は整っている。  会敵を待ちつつも、辺りの音などに気を配りながら歩みを進める。  やはり望むのは相手よりも先に存在を感じとりたいということ、そして先制攻撃の流れが理想ではあるが……。  これは望むだけ無駄な事かも知れない、そう悟りながら、それよりも距離を取りつつの戦闘を望むがゆえの装備である。  言ってしまえば、元は接近戦が得意ではなかった。  どうしても気後れする接近戦を強制されているようなこの状況、出来る限り長い通路で、遭遇を狙いながら進んで行く、間違っても出会い頭に殴りあいなど御免だった。  曲がり角では必ず壁から確認して進んで行く。 (思ったよりも……)  どうやらこの部屋は広いように感じられた。  そんな事を考えながら、角から向こうを覗き込んだ、その時だった。  視界に、倒れている奴が飛び込んできた。  罠、という訳ではないだろう、とすると、戦闘による敗北者というのが妥当な所、そして恐らくはその勝者が近くにいる可能性が高い。 (出来れば手負いになっていてくれると助かるが……)  会敵の時を間近に感じつつ、出来るだけ冷静を心掛ける。  少し長い通路に差し掛かり、そして……。 「よぉ、元、なかなか」  少しの距離を置いて、そこにはライオトルーパーの概念装甲を纏った奴が居た。  話しかけられたという自覚はあったが、気にせずゼクトガンを撃つ。 「泣き虫求助にあえねぇな」  数発が当たっているものの、致命傷にはなっていない、上手く動いて装甲にダメージを吸収させている。  元は少し後退しながら、射撃による威嚇を行う事で飛び込みを防ぐ。
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