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   今日は仕事が定時で終わる。  7月の初め、夕日に照らされたオフィス街はまだ明るくて、そのまま部屋に帰る気にはなれず、生温い風を受けながら私は駅に向かう。  こんな日は、今までだったら気の合う職場の同僚の女の子達と食事したりお酒を飲んだりして過ごしていた。  私も気付けば28歳、周りは彼氏がいたり結婚して家庭を持ったりと、仕事帰りに気軽に声をかけて集まれる仲間達も減ってきていた。 「雰囲気のいいバーでも探しに行ってみようかな…」  独り言が空しく街の雑音に紛れる。  疲れて浮腫んだ足を少し早めた。  
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