5/7
前へ
/281ページ
次へ
   独りで黙々と考えていた。  意外にすぐには思い出せないものだ。  もっと前かな。  そう、もっと前、高校生の頃とか。  思い出せそうで思い出せない、漠然とし過ぎていて。  ふと、顔を上げると少し離れた所にスーツの男の人が立っていた。  あの人も雨宿りだろうか?  チラリと盗み見る。  別に興味があった訳では無いが、余りにも暇だったから。  黒い髪、少し雨に濡れてる。  俯いていた顔をあげた。  …全体的に良い雰囲気を纏った人。  そんな事を思いながら見ていたら一瞬目があってしまった。  ガン見し過ぎた。  私はパッと目をそらして俯いた。  
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加