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(さて、ノリでユキアネサ出しちまったけど…コレまだ使った事無いし…どうすっかな…)
ブラッドは呼び出した氷剣【アークエネミー・ユキアネサ】を左手に持ち、ランサーを睨みながら心の中で一人呟いた…
本来、ブラッドが習得している武器の扱い方及び術技は、彼の故郷『ルミナシア』で共に戦った仲間のモノと、彼が独自に編み出した術技のみだが、彼がこちら側の世界に誘われた際、大量の知識を流し込まれた。
それはルミナシアやこの世界とは異なる世界の物であり、当のブラッドは頭で『知って』居るだけで、実際に『使った事』は無いのだ。
(仕方無ぇ…アイツの技で間に合わせるか!!)
ブラッドは心の中で、かつての同僚、騎士団員の少年『アスベル』をイメージした。
ブラッドはユキアネサを左側の腰辺りに鞘を持った左手を固定し、身体を僅かに左に開いて構える…俗に言う『居合』の構えだ。
「さて、こっちは準備万端だが…ランサー、お前はどうすんだ?」
ブラッドが少し挑発気味にランサーに話し掛けると、ランサーは右手で魔槍を肩に担ぎながら大きなため息を吐くと…
「悪ぃな、うちのマスターは臆病者でね。
宝具を避けられたら戻って来いとのお達しなのさ。
っつーことで、俺は退かせて貰うわ。」
そう笑いながら言い、槍を消した。
そして…
「やれやれ…今日だけで宝具を使うわ、真名はバレるわ…今日は厄日だな…」
そうぼやきながら一瞬で屋敷の屏へ飛び上がり、そのまま民家の屋根を飛び移りながら去って行った…
一方ブラッドは…
「達者でな~」
そう言いながら、何処からか白いハンカチを取り出し、ランサーに向かってヒラヒラと振って居た…
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