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「イカサマ…!?訂正して下さい!!
聖杯は決してその様な物ではありません!!」
フゥ…
夜の街並みに煙草の白い煙が融けて行く
俺は左手の人差し指と中指の間に煙草を挟む様に持ち、肩を怒らせて激昂するセイバーにゆっくりと向き直った
「いいや、イカサマだね。
黙って聞いてりゃ『どんな願いも叶える魔法の器』だぁ?
そもそも願いってモンは自分の力で叶えるモンだ。
そんなモノに逃げてる様じゃ一生叶わねぇ。」
「…貴方に私の何が分かるのですか!!
貴方は知らないのです!!
自分がいくら努力しても変える事が出来ないモノが有るのを、貴方は知らないのです!!」
俺の言葉を聞いたセイバーは暫し下を向き、唇を噛んで居たが…やがて溜まった思いを爆発させる様に涙を浮かべながら俺に怒鳴った
そんなモノに縋る程の願いね…もしや…
「…過去のやり直し」
「っ!?何故っ!?」
この反応は当たりか…しかし…
「やめとけ、過去なんて変わる物でも無いし、変えられる物でも無い。」
「その様な事、やって見なければ分かりません!!」
やれやれ…頑固だねぇ
そんなセイバーを尻目に、俺はもう1本煙草を取り出して火を点けた後
「1つ、昔話をしてやろう」
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