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俺の世界【ルミナシア】は貴重な財源『星晶(ホスチア)』を巡り、大国が小国を取り込み、その国から星晶を搾取し、小国の人間を奴隷の様に働かせて居た事
そして、突如出現した『何でも願いを叶えてくれる赤い煙』の噂の事
その赤い煙の正体はルミナシアと一緒に産まれる筈だった世界ジルディアの化身『ラザリス』だった事
そして、ルミナシアがジルディアに乗っ取られかけ、世界の人々が心を1つにして、ラザリスを封印した事をセイバーにかい摘んで話した
「貴方は…ラザリスを犠牲にして、世界を選んだのですか!!」
「ああ…それに、ジルディアは世界の『理』が異なっている為に、人間は存在出来ない世界だった…」
セイバーの咎める様な声に俺は煙草の端を噛み締めながら答える。
「ジルディアでは、人間は生存出来ない。
ルミナシアのほぼ全ての生物は生きて行けず、身体中を白い結晶に蝕まれ、やがて理性を無くしたモンスターとなる。
俺と仲間達は、ジルディアとルミナシアが共存出来る世界になるまで、ラザリスを封印した。」
「貴方は…その決断に、戸惑いや後悔は感じなかったのですか…?」
「迷ったさ…これ以外に方法が有ったかも知れない…もっとラザリスと分かり合えたかも知れない…
だがな…」
俺はそこで言葉を切り、短くなった煙草を地面に落として足で踏み消し、夜空で優しく光る月を見上げながら…
「だが…コレは俺が悩んだ末に出した答えであり、俺が歩んだ足跡は俺の生きた『証』なんだ。
それを否定する事は、この事件で死んだ人達の命を否定する事と同じだ。
だから、どんな人生でもやり直し等出来ない。
望んではならない事なんだ。」
俺はそう静かに、しかし力強く答えた。
そして
「セイバー…お前が過去のやり直しを望むならば、お前がやり直す前の人生で犠牲になった人達の人生を否定し、弄ぶ事となる…
お前にそれを背負う覚悟が有るのか?」
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