飛沫

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 事務所の中を見渡すと奥に部屋が3つあるようだ。 扉の数で判断しただけなのだが。 一番左側の部屋から王ちゃんは出てきたから、あそこが王ちゃんの社長室かな。 真ん中と右側は何だろ? 私はガラス越しの王ちゃんを確認して席を立ち扉へと歩く。 真ん中の扉を開けた。 ・・・・・・。 空間が広く棚が2本あり、化粧品の見本のような物がいくつも並んでいる。 小売店の売り場の再現みたいな部屋だった。 多分、棚割室とかいう部屋かな。 その部屋の扉は閉めて右に移動。 開けると・・・。 中が見えない。 窓のない真っ暗な部屋だ。 電気をつけるスイッチを手さぐりで探すと・・・あった。 蛍光灯がチカチカと音を立てながら点き、やがて部屋全体を明るくしていく。 ん? 壁はコンクリート打ちっぱなしの状態で少し黒ずんだ飛沫がそこらじゅうに。 アート?模様? でも何か生臭さも漂い、少し気持ち悪くなり、持病の喘息も相まって扉をそそくさと閉めた。 振り返り王ちゃんの方に目をやると、まだ離れた所で電話中だった。 ふ~・・・。 気づかれずにすんだ。 事務員さんが使用しているらしい机にノートPCがあり、セーバーが起動している。 私はマウスを手に取りPCの画面を待機状態から通常に戻した。
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